価格訴求とサービス品質追求で
年度内に契約数30万件を目指す
──現在のビジネス概況は。
城戸 今のところ業績の推移はほぼ開業当初の計画通りで、営業開始から2年半で契約件数を16万件に伸ばしています。今期末までに30万件達成を目標にしています。見積り件数は毎月8万件以上あり、そのうち65%がインズウェブなどの保険比較サイト経由です。ターゲットとして狙っているわけではありませんが、顧客層として圧倒的に多い年代が30代・40代で次が50代です。
──今期末までに顧客数を倍増するということですが、そのための顧客獲得戦略は。
城戸 ポイントは、カスタマーエクスペリエンスの追求と、マーケティングにおける考え方の転換の2つです。ダイレクト販売はそのビジネスモデルの性質上、「プロモーションをいかに上手くやるか」が販売戦略の肝。ネット上で情報を集めて購入を決めるという消費スタイルは、今後もますます一般的になっていくでしょう。また、その情報の集め方はもの凄い速度で進化しています。すでに、企業が自ら商品・サービスをアピールするようなCM・広告よりも、今はブログやツイッターなどインターネット上の“顧客の声”の方が消費行動に対しより影響を与える時代になってきています。このようにネットがどんどんソーシャルメディア化し、企業がコントロールできない “口コミ”の力が強まると、従来型のプロモーションは通用せず新たな手法が必要になります。結局、いい“声”をあげてもらうためには、基本に立ち返って愚直により良い商品・サービスを追求するしかないと思います。とくに弊社のように保険という無形商品を展開している企業は、より良い顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)を提供し続ける仕組み作りが不可欠になります。低価格で高品質のサービスを追求し続ければ、それを支持してくださるお客様は必ず爆発的に増える時が来ると思います。
正確性、迅速性、利便性を追求
顧客の声から改善のヒントを得る
──インターネット上に上がるのはいい声ばかりではなく、悪評もあります。悪い声の拡大は企業にとっては大打撃です。インターネットを活用したマーケティングを主軸とする場合、いわゆるマイナスキャンペーンを防ぐ必要もありますね。
城戸 ネット企業にとって、ネットは両刃の剣ですね。私は、開業当初から常にお客様の声に耳を傾けることを最重要視してきました。具体的には、コールセンターや事故対応後のアンケートで頂いた苦情やご意見からサービスや業務を改善するVOC活動に取り組んでいます。月次で経営層も参加する委員会を開催して、先月も1500件ほどを対象に1件1件対応を検討しました。小規模なものも含めると毎月数十件のシステムの開発案件が走っていますが、これらはほとんどお客様の声に基づくものです。一例を挙げると、Webサイト上の保険料試算画面がわかりにくいというご意見から、項目配置の変更やプランごとの色分けといった修正を行ったり、マイページIDの入力が面倒だというご意見から、弊社からお送りするメールにIDをセットして自動でマイページ画面にログインできるURLを埋め込みました。紙製のパンフレットと違い、ネットはこのような更新・変更が容易ですので、弊社のようなネット主体の企業は、お客様の要望に丁寧かつスピーディーに対応できることが最大の強みでもあります。
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