──最終的に目指すサービスの姿は。
城戸 弊社にとって唯一の顧客接点である、コンタクトセンターや事故対応サポートセンターのクオリティを高めることにつきます。とくに事故対応サポートには保険会社の本来業務であり、保険の品質を決める最大要素です。ここでは、コミュニケーションのスピードと頻度を重要視しています。各ステータスの処理を迅速に行うことはもちろんですが、処理が進まない場合でもその進捗を随時お伝えしてお客様の不安を払拭することが大事です。お客様とのコミュニケーション機会の拡大という観点では、各種お問い合わせの接点として、電話・Eメールの他に「チャット窓口」を設置しています。これは、「お客様が選ぶチャネルは多ければ多いほど便利なはず」という考え方に基づく施策で、申し込みの促進といった収益向上を目的としたものではありません。チャット窓口では現在、数名のスタッフが1日平均30〜40名のお客様からのお問い合わせに対応しています。
センター規模を倍増――
土日開業や地方展開も視野に
──コンタクトセンターの概要について教えてください。
城戸 窓口は大きく分けて、申し込み、契約変更手続き、事故対応の3種類があります。申し込みと契約変更手続きはアウトソーシングしており、事故対応は一部の受け付けのみ委託して、受付け後の対応は自社で行っています。事故対応は案件ごとに担当者がつき対応しています。システムで進捗を管理しており、たとえば車の引き取りや修理の受け付けといった状況をオペレータが入力すると、自動でお客様にメールでご連絡がいく仕組みです。契約者数の伸びとともに、事故対応窓口の規模も拡大しており、現在60名ほどが在籍しています。これから1年の間に倍増する予定で、拡張に備え6月にセンターを移転しました。また、開設時間についても、現在は平日のみ稼働(一次受付は24時間365日対応)していますが、今後はより迅速な対応を目指し土日の開設も検討しています。規模の拡大に伴ない課題となるのが人材です。今のところは具体的に検討していませんが、現在の拠点で人材を集め育てることが難しくなれば、地方展開を考える時期もくるだろうと思っています。
──今後の事業展開は。
城戸 グループのシナジー効果を有効活用しながら、早期収益化とさらなる拡大を目指します。インターネットをベースに低価格で利便性の高いサービスをワンストップで提供するという考え方は、SBIグループ創設時からの基本戦略です。この戦略は今のところ市場にマッチし、グループ全体での顧客基盤は1999年の創設から1000万人以上(2009年3月末)の利用者数に拡大しました。このグループ顧客基盤は弊社にとっても大いに強みであり、実際にネット銀行やネット証券といったグループ会社のサービスを経由してご加入いただいているお客様も増え続けています。また、保険業は信用が第一のビジネスですので、SBIグループに対する信頼の恩恵も大きい。もちろん一方的に恩恵を受けるのではなく、グループ各社が相互にメリットを見出せるよう、弊社もグループに貢献できるサービスを提供していかなくてはと考えています。
(聞き手・石川ふみ)
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