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4社のパートナー企業に業務委託
徹底した情報共有で業務プロセスを共通化

――現在のコンタクトセンターの体制を教えてください。

近藤 札幌をはじめ、国内で計4カ所の運営体制を敷いています。以前は、横浜で自社運営していたのですが、2004年から業務委託モデルに移行、現在は4社のパートナー企業(アウトソーサー)と契約しています。当社ではこれをオープン・リソース型の運営と呼んでいます。

――複数のベンダーを活用することは、人材調達の不安が解消できる一方、品質や生産性のバラつきなど、マネジメントに難しさが生じると聞くことが多いのですが、その点はいかがですか。

近藤 たしかに、インハウス運営していた頃と比べると、お客様とのやり取りがわかりにくくなったという課題が発生しました。そこで、2007年4月からマネジメント組織を再編したうえで、各センターとのコミュニケーションの強化と業務設計の徹底に着手しました。その最大の狙いは、「お客様の声」の収集とそれをベースにしたサービス企画、業務フローの改善にあります。
 まず、コミュニケーション強化ですが、各センターとのTV会議、本社での定例会議(隔週)、業務ツールと掲示板による情報共有の徹底、センターに直接出向いてのサービス説明会、センター向け月刊広報紙の発行、表彰制度などを順次実践しました。この結果、「お客様との継続的接点は宝です」という運営ポリシーを異なる委託先で共有でき、各拠点で実施している業務改革を横展開するという動きも発生しています。

――業務設計は、委託モデルの場合、アウトソーサーに一任するケースも多いようですが……。

近藤 コールセンターのプロフェッショナルに任せるというのもひとつの考え方だとは思いますが、当社のように複数のパートナーと契約している場合は、ローカル・ルールが横行しがちで、一貫した品質での顧客対応が難しくなると思います。従って、カスタマーサポート部門が設計書を作り、それを共有することが対応品質を向上する最も大きなポイントだと考えました。
 人員リソース調達の問題があるため、複数の事業者に業務を振り分けることは、企業の視点からすれば合理的です。しかし、根本的な課題として、インフォメーション、テクニカルサポート、コンテンツサポートなど、お客様から見たら同じ会社でありながらサポート体制がバラバラでいいのか、という疑問はやはりあります。品質維持・向上の最大のカギとなる業務設計を自社で行うことしか、その課題は解消できないと思っています。

――コンタクトセンターの業務設計には、顧客の声――VOC(Voice of Customer)――の収集プロセスまで盛り込んでいるのですか。

近藤 コンタクトセンターの役割として、「お客様が困っていることを社内に届ける機能」は最も大きなものです。単なるトラブルシューティングではなく、常に何でも相談してもらえるコンシェルジュ/コンサルタントである、というサポートを目指す以上は、VOCの収集と業務への反映を設計に組み込むことは当然だと考えています。
 具体的には、各オペレータが定型フォーマットに入力したVOCデータをまとめる専任者を設置し、それを週次でレビューしています。例えば最近では、スパムメールの防止機能強化が大きな改善課題として報告されています。ただし、こうした一連の作業は、現場に“もぐら叩き”に近いマンネリ感を生じさせる可能性もあるので、取り組みのプライオリティをマネジメント側で明確にする重要性も痛感しています。


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