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──センター従事者の多くは非正規雇用なので、基本的に裁量権はありません。

山田 大きな裁量権を持つ必要はありません。照明が映り込んでディスプレイが見にくい、ヘッドセットを取り替えてほしいなどと、苦言や要望を上げてきた時に会社がきちんと対応してあげることです。質問があれば回答してあげます。会社が自分たちの言うことを聞いてくれると思えば、それだけでストレスは軽減されますし、働く意欲や動機づけにもなります。最小限の裁量権でもいいので、オペレータ自身が意見を言える環境を作ることが重要です。実は、これまで出てきた、要求度が高い(Demand)、サポート不在(Support)、裁量権(Controllability)は、スウェーデンの心理学者カラセックの「仕事の要求度―コントロールモデル」に深く関わります。詳しい説明は省きますが、この3つはストレスマネジメントの重要なキーワードです。

コールセンターは新しい職種
健康へのルールを自分たちで創る

──ストレスマネジメントという観点でこれまで多くの職場に接してこられたと思いますが、コールセンターについてはどう思われますか。

山田 先程も述べましたが、コールセンターは比較的新しい職場ですので、さまざまなルールを自分たちで作る必要があると思います。運用・管理に関しては米国のモデルを取り入れたり、日本特有の考えを組み入れてかなり先進的な運営をされている企業もあると聞いていますが、メンタルヘルス・ケアに関しては日本独特の文化・気質もあり各社とも模索している状態です。そこに私たちがお手伝いできればと考えています。歴史的に見て新しい職種にはそれなりに危険は付きものですが、どのようなストレッサーがどんなストレス反応につながるかを把握し、知識として持っていれば、コールセンター従事者は自殺などの危険を避けることができます。現在検証中のコールセンター向けストレス調査票「Stress Management Checklists for Call Center Workers(通称:SMC3t)」の実証を続け、2010年度中には公開できればと思います。
 もう1つ付け加えれば、日本はアジア圏ではコールセンター先進国です。確立したストレスマネジメントのノウハウは比較的近い文化を持つアジア圏で応用が効くはず。そうした地域に日本の知識を普及させることが、私たちの世代のタスクと考えます。
(聞き手:山本 浩祐)


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