店舗や他の通販媒体とは相互補完関係
どう組み合わせるかは顧客次第
──今後、ネット通販はさらに伸びていくのではないですか。
後藤 ネットの進展は著しく、それに伴なって通販も伸びると考えていますが、リアル店舗を凌駕するとか代替してしまうとかではなく、相互に補完していく関係です。今、リアル店舗がPOS管理によって品揃えを売れ筋に絞ってきている中で、棚落ちする商品も多く出てきます。しかしお客様にとってはどうしても欲しい商品があるわけで、そのニーズを満たすのはネットが有効です。一方、生活必需品などはいちいちネットで検索するより、最寄の店舗が便利です。必ずしも両方を同一事業者が手がける必要はなく、ネットはネット、リアルはリアルでも構わないわけで、これをどう組み合わせて利用するかはお客様次第です。
── 一方、伝統的なカタログ通販やTVショッピングとの関係は。
後藤 媒体によって、先ほどのプッシュとプルの程度が違うと思います。カタログにはそれ自体に事業者の狙いとストーリーがあります。TVショッピングも見せたいストーリーを流す誘導型ですが、ネットは逆にお客様本位でストーリーが展開していきます。結局、通販ビジネスはお客様との関係性そのものが最大の資産ですので、ネットにしろ、カタログにしろTVショッピングにしろ、それぞれの媒体特性を活かす技術とノウハウがどこよりも長けていることが重要です。当社はあくまで健康をキーにしたネット通販を他のどこよりもしっかりと追求していきます。
──ネット通販はプル型ということですが、プッシュ型の行き方はないのですか。
後藤 プッシュというよりインタラクティブ性やリアルタイムの部分を高めていくことが肝要です。その意味で注目しているのはツイッターの活用です。当社で目下行っていることは、物流センターから例えば賞味期限切れが近いお買い得商品の案内をブログで紹介して、ツイッターで更新情報をお知らせしたり、またツイッターを使用した気軽な体重管理サービスなども始めています。これらのサービスは売り上げに直結するものではありませんが、ファン醸成やお客様との関係性継続に必ずつながると考えています。そしてツイッターのように、いろいろなものが同時多発的にリアルタイムで進行していく媒体としての位置付けが、ネットではさらに強くなっていくと思います。
──ネット通販でのコールセンターの位置付けはどうなるのでしょう。
後藤 ネット通販だからコストがかかるコールセンターは切り詰めなければいけないという発想は間違いです。むしろネットだから、バーチャルな媒体だからこそ、お客様と触れ合う実在かつ唯一の接点として重視すべきです。かつての単品通販のようなウエットなサービスはもはや行っておらず、またネット通販のお客様にはウエットさは嫌がられる傾向がありますが、お客様にとってどんなサービスが心地よいのかを、今改めて追求しているところです。
(聞き手・鈴木 信之)
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