──国内の保険業界におけるスタンスは。
福永 主力のダイレクト自動車保険でみると、収入では現状4番手グループに位置しています。ただ、当社はここ数年収入だけでなく収益を重視してきました。保険のダイレクト通販は商品の先進性、とくに従来の代理店型モデルと比べて低廉な保険料にお客様が着目され、これをセールスポイントに伸びてきた面がありますが、一方で収益確保の課題が顕在化しつつあります。当社はいち早く収益の観点からビジネスを見直し、昨年度以降、一段とそこに軸足を移したことから収益が大幅に向上しています。
電話からネット、モバイルへ
顧客動線の見極めがポイント
──収益重視ということですが、具体策は。
福永 一つは、お客様のニーズ、契約プロセスの多様化に即した広告(告知)媒体の厳選です。そして、ネット専業になるつもりはありませんが、ネット中心のビジネスモデルへのシフトです。当社がダイレクト自動車保険を始めた12〜13年前は新聞広告の比重が大きく、事実お客様の反応も強かったのですが、次第にテレビでの露出やインターネット告知、さらにネットでもさまざまな工夫を要するなど、媒体をミックスして相乗効果を上げることがますます重要になっています。また、お客様とのコミュニケーションチャネルも、従前は電話主体でしたが、インターネット経由からさらにモバイルへと多様化してきています。このように媒体選択とお客様の動線の相関を見極めることがポイントです。
──時代に合わせてコミュニケーションチャネルも変化していくと。
福永 ただし、ネット中心と言っても、お客様とのコミュニケーションはこれだけでは済みません。後発のネット専業保険会社では保険料が安い分だけコミュニケーションチャネルもネット主体というところが多いですが、当社はあくまで“クロスチャネル”に力点を置いています。例えば、お客様の契約プロセスをみても、電話だけでもネットだけでもなくミックスしていますので、これに柔軟かつ的確に対応することで利便性を高めることがポイントです。収益重視だからこそ、企業理念である「ケア」の充実に改めて努め、コンプライアンス対策強化を含めて力を入れているところです。その上でコスト構造を見直し、例えば、契約プロセスにおいても、最初は電話でコンタクトをいただくがその後はネット、モバイルに極力誘導することで、ペーパーレス化や通信コストを削減するとか。また、センターのオペレーションブース数は変えることなくスペースの合理化を図るなど、随所にわたって改善を進めています。
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