通信キャリアに“自社製スイーツ”を訴求
中小規模向けでも新施策に着手
──大規模センター市場の中で、御社が強みを持っている通信キャリア向けのソリューション展開についてお聞かせください。
倉橋 通信ネットワークの大変革期にさしかかり、モバイルを含めてキャリア各社の競争は激化の一途です。その中で、顧客継続、ロイヤルティ醸成の拠点としてコンタクトセンターを改めて重要視するところが増えています。ここをターゲットに、今まで以上の堅牢性と高信頼性を、これは製品だけでなく当然ながらサポート品質も含めて保証できるソリューション提供に力を入れていきます。また、先に述べたような一気通貫のニーズも強いことから、カスタマイズにも柔軟に対応できる各種インタフェースを用意していきます。通信キャリア業界で培った堅牢性や高信頼性のノウハウは一般企業向けのソリューションにも適用でき、当社の競争力の源泉になると考えており、この先行投資の意味合いでも強力に推進中です。キャリア向けは、外資系、国産を含め他のベンダーも当然ながら注視していますが、自社製中心にネットワークのOSレベルからアプリケーションまで一貫してソリューションを提供でき、また関連グループ会社を含め保守網が充実していることなど、他社に負けない優位性があると自負しています。
── 一方、中小規模市場への施策は。
倉橋 PBXやIVR、ソフトライセンスと端末などをワンセットにしたパッケージ商品の訴求は従来から行なっていますが、あまり上手くいっているとは言い難い状況です。また、当社の音声系ビジネスに占める販売店チャネルの売り上げ構成比は高いものがありますが、コンタクトセンターを手がけられているところは限られており、新規チャネル開拓が課題となっています。ただ、50席規模以下、さらに小さい10席レベルを含め潜在需要が大きいことは、実績のある販売店さんからのヒアリング結果などでもわかっています。この現状を打開するために、ハード(製品)中心のパック化に加えソフト、つまり営業支援も含めて販売店さんといっしょになって市場を開拓する取り組みに着手したところです。一つのやり方として、範囲やシナリオを決めた業種・業態ごとのパック化、テンプレート化に改めて取り組んでいく考えです。結局、大規模でも中小規模でも提案活動の手間は同じなので、投資対効果の低い中小規模案件はどうしても敬遠されるわけですが、より売りやすく負荷のかからないフレームを構築することで、販売店さんにその気になってもらうことが主眼です。
それと、もう1つはSaaSの展開です。当社としてはキャリアのSaaS、クラウド化におけるネットワークビジネスとの協業もありますが、一方で、今後のキャリアの展開によっては、販売店さんの営業支援の一環で、SaaS対応の新たな施策を一緒に考え、そのサービスメニューを提供していく構想も持っています。
市場シェア20%強を確保し
インフラ系ではアバイアに肉薄したい
──これら一連の施策展開による2010年および中期の事業目標は。
倉橋 具体的な金額は申し上げられませんが、国内コンタクトセンターのシステム周り(インフラ部分とミドルウエア、アプリケーションを含む)の市場全体では日本アイ・ビー・エムさんがトップ、当社は2番手ですがシェアは20%を割っているのが現状と把握しています。これを早い段階で20%以上に引き上げていきたいです。さらに、インフラ部分だけでみると日本アバイアさんがトップ、次に当社でシェア20%と推定していますが、まず2010年中に2〜3ポイント上げ、中期的には30%を超してアバイアさんに肉薄したいと考えています。
(聞き手:鈴木 信之)
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