――あまり消費者には好まれませんが。
三田 日本人のメンタルに合わない部分はあるでしょうが、適切に運用すれば効果的な手段です。要はアウトバウンドを不愉快に思わない顧客を見つければいいわけです。それにはテストを繰り返します。例えば、同じ属性の500人の顧客グループを作り、半分の250人にアウトバウンドコールを実施して反応を見ます。中には電話をかけたことで離反する人がいるかもしれませんが、電話をかけなかったグループにも離反者がいるはずです。この割合を比較します。また、好感触を得て、売り上げにつながるケースもあるでしょう。属性を変えながらテストを繰り返すことで、アウトバウンドコールを許容するタイプが見えてくるはずです。
返品の可否・条件・送料負担を明確化
改正特定商品取引法のインパクト
――通販市場への改正特定商取引法施行のインパクトは。
三田 通販での返品に関する規制強化ということになりますが、実際はそう影響がないと考えています。今回の改正は、返品の可否・条件・送料の負担を広告やWebサイトに表示していない場合、消費者が商品を受け取った日から8日間に限り、送料を消費者負担で返品することを可能にするという内容です。カタログ通販やTVショッピングではすでに取り組まれていたことですが、一部のネット通販に関しては返品トラブルが頻発していたようです。このため、商品購入ページなどの「最終確認画面」に返品に関する特約を表示することを指導しています。考えてみれば、当たり前のことを当たり前にするだけですので、消費者にとっても良い改正です。
――ネット時代に入って消費者意識も変わってきたではないでしょうか。
三田 捉え方はさまざまでしょうが、顕著に増えてきたという認識はありません。ネット通販の普及により、これまで顧客対応と縁がなかった方が顧客と接する機会が増えてきました。そんな背景も、クレーマーが増えているような感覚を増殖させる一要因ではないでしょうか。口うるさいお客様は昔からいらっしゃったので、消費者意識が変わったということはないでしょう。一時期はネットの掲示板への書き込みを警戒する企業もありましたが、昨今は意外と冷静に見ているということも徐々にわかってきました。もちろん、何らかの問題が発生した際は真摯に対応するのですが、必要以上の警戒は“Too Much”です。
M&A、異業種参入が続く?!
有望な通販市場の将来性
――通販市場の今後をどう見ますか。
三田 競争は激化していますが、まだまだ伸びシロはあると思います。米国の通販市場規模と比較しても、日本はまだまだ小さい。個人的な見解ですが、男性の通販利用者がもっと増えるのではと思います。
それ以外では、M&Aが進行するのではと予想しています。2009年は、ディノスがセシールを配下におさめたり、NTTドコモがオークローンマーケティングを買収したりといった報道がありました。これは、通販ビジネスが、社会的に有望な投資だと認知されてきた証拠です。通販市場はこれからさらに面白くなると思います。
(聞き手:山本 浩祐)
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