――アウトバウンドによるセールスに注力する契機は何ですか。
中谷 当社は放送・通信分野のBtoC営業では異例とも言える全国で約1900人の営業マンを抱え、これまで対象エリアの世帯をローラー作戦により戸別訪問してお客様を獲得してきました。しかし、ケーブルテレビの加入数がホームパス世帯(敷設工事済みでいつでも加入可能な世帯)の25%に近づき、インターネットと電話サービスもそれぞれ12%を超え、加えて、大手通信事業者との競合も激しさを増してきたことから、なかなかお客様に玄関のドアを開けて話を聞いてもらうということが、そう簡単にはいかなくなってきました。従来の訪問営業一辺倒のスタイルを抜本的に見直す時期にさしかかったのです。そこで辿り着いたのがアウトバウンドコールセンターを軸にした非対面の営業スタイルでした。電話であれば少なくともお客様は受話器を取ってくれます。
――ただ、昨今の個人情報保護法施行や、米国ではDNC(Do-Not-Call)法が施行されているなど、アウトバウンドに対する風当たりは厳しくなっていますが。
中谷 いきなり未加入世帯に電話することはしません。まず最初のターゲットはケーブルテレビ加入のお客様に絞り、インターネットおよび電話サービスのクロスセルを展開します。既に2005年末からトライアル的に実施していますが、短期間のうちに営業マン1人当たりの月間平均サービス成約件数の30RGU(レベニュー・ジェネレーティング・ユニット)と同等レベルに達し、アウトバウンドセールス目標として設定している40RGUが早くもクリアできそうになってきています。
――さっそくアウトバウンドの利点が表れているのですね。
中谷 訪問営業に比べお客様との接触機会が増えることと、やはりターゲットマーケティングはコールセンターでセールスした方がやりやすいと言えます。営業マンには得手不得手があって、対象エリアのさまざまな客層のニーズに応えることは骨が折れますが、アウトバウンドでは、事前に各客層向けのセールストークスクリプトを準備し、対象エリアのリストに基づいてプレディクティブダイヤラーで一斉にコールすることで、お客様の属性に即したセールストークを展開でき、しかも効率を上げることができます。
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