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KDDI子会社であることはむしろ強み
グループ内BPO推進でノウハウ蓄積

――アウトソーシング業界の今後のトレンドとしてBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)が重要視されていますが、その具体的推進は口で言うほど簡単ではないと思います。御社の場合BPOに対するお考えは。

伊東 大手のテレマエージェンシーでは値引き合戦が盛んで、当社があとから乗り込んでも、勝てるわけがありません。しかし、当社はKDDIの100%子会社であることをフルに活かし、KDDIからの業務請負いの幅を拡大していくことを考えています。単純にカスタマーサービスというフロント部分だけではなく、バックヤードやフルフィルメント部分、さらにプリセールスやマーケティング領域も視野に入れて、BPOをKDDIグループに対して提供する考えです。例えば、従業員向けの旅行・保険代理店機能を強化し、KDDIグループ全従業員約1万3000人に対し積極的なサポートを行って従業員満足度を上げ、そのノウハウを次にKDDIのお客様(エンドユーザー)に対するカスタマーサービスに活かすことができれば、それがKDDIの子会社であることの最大のメリットとなります。これは大手テレマエージェンシーには真似のできない強みだと思っています。KDDIの業務を縦軸で一貫サポートできるスタンスは、当社として唯一競合会社に勝てるポイントです。また同時に、従業員を顧客として扱うことで、福利厚生はかなり手厚いものになり、KDDIグループの従業員であることにロイヤリティを実感してもらうということも推し進めたいと考えています。

――つまりグループ内BPOの推進ですね。

伊東 そうです。これにはもう一つの側面があります。今後、ユビキタス社会になったときに、最もニーズが高いコンテンツは、教育と金融と旅行の3つであり、さらに最も広がりがあるのは金融です。先ほど申し上げたように、当社はKDDIグループの全従業員に対し保険や金融業務を行える立場にあり、保険会社にとって大きな魅力です。当社と提携することでKDDIグループの従業員を顧客化できるからです。KDDIグループでは毎年3000億円程度の設備投資をしているので、それにかける管財保険や、さらには従業員の団体保険も、かなりの金額になります。例えば自動車保険などは、他の大手テレマでは取り扱いにくい商品ですが、当社はKDDIグループの従業員を抱えているので、全損保会社と取り引きをすることができます。一方、グループ内BPOの推進に伴ない、組織体制もそれにフィットした形に変えていくつもりです。ただ、合併まもないため、メンタル面も考慮しながら向こう3年をかけて段階的に括り直し、統合メリットを発揮していく考えです。

――今後の展開と抱負をお聞かせ願えますか。

伊東 まずは、現在20%に留まっているKDDI本体のカスタマーサービス受託シェアを大幅に引き上げ、併行して保険・金融を中心にグループ内でのBPO事業を拡充していきますが、その次の段階では、グループ内BPOで培ったノウハウをベースにして、KDDI以外の受注拡大を狙っていきます。ターゲットは金融関連がメインになると思っていますが、私は案外、旧KDDI総合サービスが行ってきたビル管理などの業務も伸びると見ています。今後、団塊の世代が徐々に会社をリタイアしていくにつれ、いわゆるシルバー産業のウエイトが高まると言われています。当社としても合併で得た社員リソースをカスタマーサービスだけでなく、シルバー産業向けのビジネスに振り分けたり、あるいは、まだまだ元気で経験の豊富なシルバー世代を有効に活用することで、新たなマーケットを広げることができると思っています。

(聞き手・石川 ふみ)

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