ビジネス課題の発⾒と解決を導く──
データ分析 成功のセオリー

近日刊行
個々の分析手法の外にある
ビジネス適用のノウハウを網羅
河合俊典・横田賀恵 [共著] A5判 244ページ 定価:定価2,640円(税込) ISBN:978-4-86594-439-6 2025年4月下旬刊行
データ分析やAIを実際のビジネス活動へ適用する動きが急拡大しています。その成功のカギは、個々の分析技術や機械学習の手法とは、少し別の所にありそうです。本書は「分析技術と現実のビジネスをつなぐ」という目的指向の視点から、必要とされるノウハウを広く網羅的に俯瞰します。 分析の実施やAIシステム開発に先立つデータの準備、スコーピングと分析プロセスの設計、必要となるスキルの見極めとその動員方法から、最終的な分析結果の扱い方やレポート時の心構えまでを、著者の豊富な経験に基づき具体的に紹介。推奨図書を含め、データサイエンティスト、分析の担当者、ビジネストランスレーターにとって喫緊のスキルセットを明示します。
内容詳細
【読者対象】
 本書は以下のような方々に向け、ビジネスシーンでのデータ分析について述べています。
・データ活用案件を任されたチームリーダー
・分析を依頼されたけれど、何から始めていいか分からない方
・Pythonや機械学習を学んだものの、分析案件の成果をうまく挙げられない分析担当者
・クライアントと分析担当者をつなぐビジネストランスレーターになりたい方
・データサイエンティスト協会が示す「ビジネス力」を強化したいデータサイエンティスト
 なお、以下の方々は対象外です。
・研究機関等で学術的な分析を担う方
・データ分析に必要なプログラミングやツールの使い方を覚えたい方
【本書執筆の狙い】
 2000~2010年代のビッグデータブームや第3次AIブームといった技術的視点での流行に続き、2021年あたりからはDXによる課題解決がテーマとなるなど、ビジネス的視点でデータ分析が注目されています。また、かつて大量データの分析やAI開発には、高度な技術スキルや高価なハード/ソフトが必要でしたが、近年では新たな技術やツール類の誕生とクラウドの発達により、データ分析のハードルは格段に下がってきました。
 こうした分析技術のコモディティ化の中で、新たに顕在化してきたニーズがあります。それは、事業現場などのビジネス部門と、技術的視点が高いデータサイエンティストを橋渡しするスキルであり、そのスキルを持った人材「ビジネストランスレーター」です。つまり、個々のビジネス課題をデータ分析による解決へとつなぐ能力が希求されているのです。その需要が高いことは、以下の2点からもわかります。
①データ分析案件やAI案件の失敗事例が増えてきており、失敗原因のアンケートを見ると、「ビジネス課題が不明確なまま進めてしまった」が最も大きなウェイトを占めている。
②データサイエンティスト協会による「企業が求めるデータサイエンティスト像」として、「ビジネス課題解決を得意とする人、データ分析の活用を戦略的に考えられる人」などが上位に挙げられている。
 <中略>上記のようなニーズの一方で、データサイエンティスト育成講座や書籍のほとんどは、Pythonプログラミング等に重点を置いており、ビジネスとデータ分析を結びつける技術はあまり述べられていません。また、Web媒体には、これらの一部要素に触れた記事やコラムが見られますが、体系的にまとめたものは見当たりません。そもそも必要とされているスキルが、なんとか法やなんとか値といったキーワードで表せるような個別の技術要素ではないので、検索キーワードがわからず、Webでの情報収集は困難です。本書の執筆および刊行の動機はそこにあります。
【本書のゴール設定】
 本書を読み終える頃には、次のようなスキルを獲得できるはずです。
・業務課題を踏まえて、データ分析の具体的なプロセスを設計できるようになる
・データ分析をビジネス課題解決のツールとして使えるようになる
・データ活用のアイディアを出せるようになる
・データ分析を依頼された際に、自ら分析方針を立てることができるようになる
・クライアントが納得できる分析結果を出せるようになる
【執筆上の工夫】
 抽象的な話題だけでなく具体例をふんだんに挙げ、実際のビジネス現場の分析案件から得た経験知を盛り込みました。大学や研修サービス機関の講座や教科書には登場しない実践的なエッセンスも含めました。また、「もっと深く知りたい・学びたい」という方へのガイドとして、推奨書籍を紹介するコラムを各節に設けました。
【本書では扱わないもの】
・SQL、Pythonプログラミング、Excelの関数やマクロ
・AI技術の数学的・学術的な説明や開発手法の詳細
・統計学の詳細
・分析ツールの使い方
■著者略歴
河合俊典(かわい としのり)
富山県砺波市出身。2008年日本ユニシス株式会社(現 BIPROGY株式会社)入社後、SIerのSEとして、Webチケット予約サイト、SaaS型ドライブレコーダーサービスなどのシステム開発・保守を担当。その後、業務提携先のデータアナリティクス企業にてデータ分析業務を1年経験し、現在はデータ・AIを活用したサービスの適用/提案/技術検証や社内データサイエンティスト育成を担当。
情報処理技術者ITストラテジスト試験、情報処理技術者プロジェクトマネージャ試験、データ分析実務スキル検定(PM級)、JDLAディープラーニングG検定(2019#2)、合格。日本心理学会認定心理士、心理学検定特1級など、IT技術系以外の知見も保有し、心理学や行動経済学観点からのデータ分析を得意としている。
横田賀恵(よこた かえ)
2007年日本ユニシス株式会社(現 BIPROGY株式会社)入社。SEとして、電力事業者のシステム開発を担当した後、データサイエンティストとして自治体向けのデータに基づく政策立案を支援。上流からデータ活用を検討するプロジェクトを多数経験し、ビジネスとデータをつなぐノウハウを習得。現在、データ・AI活用サービスの責任者およびデータサイエンティストとして、様々な業種のデータ活用プロジェクトや人材育成プロジェクトを推進。
■本書の主な内容
第1章 データサイエンティストと「ビジネス力」
1.1 データ分析の基本的概念
1.2 DSのスキルと分析プロセス
1.3 なぜ「ビジネス力」が必要なのか?
第2章 ビジネス課題の検出
2.1 ビジネスシーンにおけるデータ分析の心構え
2.2 ビジネス課題解決の一手段としてのAI
2.3 データ分析が効果的な課題の発見
2.4 データ分析・AI活用で実現できること
2.5 ビジネス課題と分析手法のマッピング
第3章 分析アプローチの設計
3.1 分析結果のアウトプットパターン
3.2 基礎分析とKPIツリー
3.3 いい指標の見つけ方
3.4 いい切り口の見つけ方
3.5 AI精度の目標設定
第4章 分析の実施
4.1 データクレンジング
4.2 データリテラシーの実例
4.3 グラフをどう解釈すべきか
第5章 分析結果を活かす
5.1 分析結果以外にまとめるべきこと
5.2 分析報告の伝え方
5.3 業務への組み込み