第14回次世代ネットワーク&サービスコンファレンス 講演抄録
SDN技術の活用で柔軟なNW 企業の負担少なくセキュリティ実現
KDDI 商品統括本部サービス企画本部長 片岡浩一氏

クラウドサービスとスマートデバイスの業務活用の進展に合わせて、企業ネットワークは柔軟性やオンデマンドな機能追加が求められている。KDDIの次世代イントラサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch 2」は、SDN技術の活用により、柔軟で迅速な広域ネットワークを簡単かつ安価に実現できるのが特徴だ。

 企業内通信の歴史を振り返ると、1984年の専用線から始まり、広域イーサネット、広域仮想スイッチと5〜10年周期で進化を遂げてきました。

 現在のビジネス動向としては「クラウドファースト」「モバイルファースト」がキーワードで、企業では、クラウドサービスとスマートフォンを中心とするモバイルの拡大により新しいビジネスを立ち上げようとする動きが見られます。

 その際、お客様のニーズとして多いのが、「クラウドおよびスマートデバイスによるビジネスのスピードアップを実現したい」「運用負荷をかけずに情報漏えいなどセキュリティの不安を払しょくし、安全・安心に利用したい」という2点です。

 ITの進化により、サーバからクラウドへ、またPCからスマートデバイスへと移行が進んでいます。経営が求めるスピードを実現するために、ハードウェアはそのままでソフトウェアを変更して機能を強化する“ソフトウェア・ディファインド”が不可欠となっていますが、ネットワークだけは十分な進化を遂げていません。日本企業ではまだまだSIerに頼る部分が多く、それがスピードを阻害する要因ともなっています。

 とはいえ、クラウドになるとネットワークも「柔軟にデザインできること」と「オンデマンドで構築・機能追加できること」がポイントとなってきます。

 これらに対応しているのが、SDN(Software-Defined Networking)技術を活用した次世代イントラサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch 2(WVS 2)」です。2014年9月の開始以来、多くの企業にご利用いただいています。

 WVS 2は世界で初めて、SDNアーキテクチャを広域イントラネットに活用しています。

 SDN技術の中で我々が着目したのが「サービスチェイニング」です。従来のネットワーク技術では、目的地まで決まったルートしか進めませんでしたが、サービスチェイニングを活用することで、ポリシーに応じて必要な処理を目的地に行く途中で実施できるようになりました。これにより、法人の宅内での構成変更が不要で、専用機器も設置せずにクラウドを利用することが可能となります。既存のネットワークに手を加える必要がないので、さまざまなネットワークを保有しているお客様にその有益性をご理解いただけるのではないかと思います。

 WVS 2の機能の特徴として、(1)セキュリティクラウド、(2)ネットワーク仮想化の2点があります。

 まずセキュリティクラウドですが、広域ネットワーク自体にセキュリティ機能を持たせることで、企業の負担を軽減します。

 WVS 2上ではインターネットファイヤーウォール、メールアンチウィルス、Webアンチウィルス、URLフィルタリング、IDS/IPS、UMTなどのセキュリティアプライアンスの機能を用意しており、ユーザーが各拠点のネットワーク構成を変更せずに利用できます。ユーザーはコントローラーからオンデマンドでリソースの拡張や機能の追加を簡単に行えるので、「体にピッタリ合ったスーツのような」ネットワークを実現します。

 そして2番目のネットワーク仮想化ですが、これはインターネット接続帯域幅や社内のV-LANの構成をユーザーが柔軟に変更できる機能です。

 中小企業や小規模拠点などでは専用機器を設置してネットワークを一元的に管理したいというニーズがあります。またビジネスユニットや用途ごとにネットワークが分かれている“スパゲッティ”状態の企業も多く、全社的にネットワークを変更することは「パンドラの箱を開ける」ようなものです。

 その点、WVS 2であれば柔軟で迅速性に富んだネットワークを簡単な操作で安価に提供します。「柔軟」「迅速」「簡単」「安価」をキーワードに、今後も新たな機能を追加しネットワークの高度化を進めていきたいと考えています。

(文責・編集部)

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