第14回次世代ネットワーク&サービスコンファレンス 講演抄録
ファーウェイのオープンNFV戦略 注力分野はクラウドOSとMANO
華為技術日本 ソリューション&マーケティング本部 ソリューションセールスエキスパート 桜井浩哲氏

ファーウェイはNFVにおいて(1)ハードウェア、(2)VNF、(3)クラウドOS、(4)MANOの4分野の領域で製品を展開、標準規格に厳密に準拠させることによって、通信事業者の要望が強いマルチベンダー環境の実現を図る。特にNFVの要であるMANOとクラウドOS「FusionSphere」に注力。PoC(実証実験)などを通じ、通信事業者の新たなビジネス創出にも貢献していく。

 本日は、ファーウェイのネットワーク仮想化(NFV)への取組みについてお話をさせていただきたいと思います。

 世界の通信事業者の間でNFVの導入機運が高まってきました。これにより、コストダウンやサービスの市場投入期間の短縮、運用管理の簡便化や新たなビジネスの創造が実現できると考えられ、導入への大きなモチベーションとなっています。

 これを可能にするNFVのソリューションは、(1)ベースとなる共通の汎用ハードウェア、(2)以前は専用ハードウェアで実現されてきたIMS、EPCなどのネットワーク機能を仮想アプリケーション化したVNF、(3)この2つの階層をつなぐクラウドOS、(4)これらを円滑に管理するMANOというコンポーネントの4分野からなります。

Huawei NFV Solution Portfolio
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 ファーウェイはこの(1)〜(4)すべての分野の製品を自社で提供することができます。これらの製品は標準に厳密に準拠し、マルチベンダー環境でも問題なくご利用いただけます。これにより通信事業者が望まれるオープンなNFVを実現したいと考えているのです。

 日本ではあまり知られていませんが、ファーウェイはサーバーやストレージ、スイッチ・ルーターなどの企業向けのIT製品でも世界市場でかなり高いシェアを持っています。中国やアジアを中心にIaaS、SaaS、PaaS構築用のクラウドOS製品も出しており、これを拡張することでNFVのクラウドOS「FusionSphere」を製品化しています。

 FusionSphereは、OpenStackベースの製品ですが、標準では対応できていない複数のデータセンターにまたがる運用を実現しており、最大接続数も大幅に拡大されています。こうした拡張部分も順次OpenStackにフィードバックし、改善提案を進めています。

 FusionSphereはすでにデータセンターなどのクラウドOSとして120カ所以上で導入されており、この上で50万を超えるバーチャルマシンが稼働しています。欧州ではボーダフォンとテレフォニカがデータセンターにFusionSphereを採用しています。この製品は通信事業者の多様なビジネスに対応することができるのです。

 もう1つ、ファーウェイが力を入れている製品にMANOがあります。MANOは、例えばLTEをすでに導入している携帯電話事業者が既存のコアネットワーク(EPC)の一部を仮想化コアネットワーク(vEPC)に置き換えようとする時、これらを一括管理する役割も担うことになります。当社では通信事業者向けビジネスで培ってきた経験・知識をMANOの中に組み込むことで、こうした多様な通信事業者のご要望に応えたいと考えています。例えば多くの通信事業者が、vEPCの導入で要望されている容量の自動拡大や自動復旧などへの対応も実現しています。

 当社では将来の通信事業者のネットワークはNFV/SDN技術によりクラウドを活用する形で構築するようになると考えており、これを「SoftCOM」と名付けて研究開発に取り組んでいます。ファーウェイでは2014年NFV/SDN関連のR&Dの人員を昨年に比べ8割増やしました。ETSIやOpenStack、ONFなどにおける標準化活動への貢献にも力を入れています。

Huawei SoftCOM - Long Term NFV & SDN Strategy
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 ファーウェイが近年注力しているのは、通信事業者とのPoCやジョイントイノベーション(共同開発)を通じて、通信事業者が新たなネットワークへの移行に向けたサポートを行うことで、現在NFVだけでも30を超えるプロジェクトが進行しています。その1つ、欧州の通信事業者と実施したCPE(宅内機器の仮想化)のフィールドテストでは、事前にコスト構造を決めて故障率やクレーム率などを収集し、実際にビジネスとして成り立つかの検証も行いました。既存のLTEのネットワークに加えてvEPCで新たにM2M用ネットワークを構築しようという試みも出てきています。ファーウェイはこれらを通じて、新時代の通信事業者のビジネスをサポートして参ります。

(文責・編集部)

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