本日は、エンピレックスがフォーカスしているモニタリング分野において、今後起こり得ると想定される問題と、それに対し弊社がどんなソリューションを提供できるのかについてお話しして参ります。
IoT(Internet of Things )という言葉がにわかに注目されるようになってきました。2020年には500億以上のデバイスが移動通信ネットワークにつながり、多くの新しいアプリケーション、新たなビジネスが登場してくると期待されています。しかしながらIoTにおいては、多くの場合、デバイス、サーバー、アプリケーションは通信事業者以外のプレイヤーが手掛けるためトラフィックの中身には通信事業者は関与できないと見られており、OTTと同様のトラフィックの問題が生じる可能性があります。
ここに通信事業者にとって、対応の難しい3つの変化が進行していると、当社は考えています。
その1つが「トラフィックの2極化」です。IoTによるトラフィックが従来のトラフィックに加えて流れることによって、ビデオに代表される大容量のトラフィックと、監視システムのような小容量で散発的な通信という2つの性格の異なるトラフィックがいずれも大きく伸びていくと考えられます。
2つ目が「通信パターンの多様化」です。Webブラウジングではバースティなトラフィックをいかに速くさばくかが重要です。これに対しビデオの場合は5〜10Mbps程度の速度で定常的にデータを流すことが重要になります。またVoLTEでは低遅延でリアルタイムな通信が必要になります。IoTではさらにこれらに加えより低速で散発的なトラフィックが発生する可能性があります。このように用途によりネットワークに求める要件が大きく異なってきているのです。
そして3つ目の変化が、トラフィックの暗号化の流れです。ユーザーのプライバシーを保つためトラフィックを暗号してやりとりするサービスが出てきていますが、こうしたものが増えてくるとアプリケーションに応じた制御を行うことが難しくなります。
次に、今あげた3つの変化への対策につき、当社の考えをお話しして参ります。
1番目が「トラフィックパターンの解析」です。アプリケーションによって特有のトラフィックのパターンがありますから、暗号化されていてもこれを解析することで、アプリケーションを特定することができます。
2番目がモニタリングのキー項目を、カスタマーエクスペリエンスを優先とするものにシフトさせることです。従来のサービス管理は、いわゆる“1サイズ フィットオール”の考え方に立ち、ネットワークリソースをうまく使って最低限の品質を保ちながらいかに多くのお客様にサービスを提供していくかを重視していました。
しかしながら、IoTに代表される新しいトラフィックが増加することで、アプリケーション毎にネットワークに求められる要件が大きく異なるようになります。これに対応するには、KBO(Key Business Objectives)を踏まえたサービスの提供が不可欠です。そこでユーザー毎に特化したモニタリング手法を確立する必要が生じるのです。
最後に、多様なデータを関連付け、「いつ」「何が原因で」「何がおこっているか」を把握、問題が発生する前に対策を講じられるようにすることです。エンピレックスのモニタリングソリューションではデータメディエーションというレイヤを設けて、プローブやネットワーク機器、さらにはデバイスから得られる様々な情報の関連付けを行う機能をサポートしています。
これらの情報は多様な形で可視化でき、その画面から加入者毎の通信を特定してトラブルの原因を特定するといったことも可能になります。
エンピレックスでは、IoT時代の多様なニーズに応えられるモニタリングソリューションの提供を通じて、これからも通信事業者のビジネスをサポートして参ります。
(文責・編集部)