第12回次世代ネットワーク&サービスコンファレンス 講演抄録
VoLTE時代を見据えた 新たなモニタリング手法
エンピレックス プロダクト・ハウス プロダクト・ディレクター 大和田哲氏

エンピレックスのモニタリングソリューションの大きな特徴の1つは、制御データを送るCプレーンとユーザーデータを運ぶUプレーンの双方から得られた情報を関連付け、ユーザーの利用実態を詳細に把握できる点にある。VoIPの片通話の検出から、ネットワークに過大な負荷をかけるアプリケーションの発見など、多方面での利用が可能だ。

 私どもエンピレックスは、1992年の創業時から「Hammerテクノロジー」のブランドでVoIPの音声品質測定および負荷試験装置を展開してきました。2003年頃からは新たにモニタリングのソリューションの開発・販売を開始。現在は企業向けのテストサービスとサービスプロバイダー向けのモニタリング機器の販売を2本柱に事業を行っております。

 さて、2012年にLTE上でのVoIPサービスとなりますVoLTEの展開が始まり、携帯電話もいよいよVoIPの時代に入ろうとしています。本日はこうした中で、私どものソリューションがどのような形で通信キャリアの業務にお役立ちできるのか、という視点で話をして参りたいと思います。

 LTE/VoLTEの時代のモニタリングに求められる要件にはどのようなものがあるのでしょうか。私どものお客様からのご要望の1つに、複数のネットワークをまたがっても同一の条件で監視を可能にしたい、ということがございます。

 現在、LTEでは音声通信を行う際に、3GのCS(回線交換)が切り替わるCS-フォールバックという仕組みが主力で使われています。VoLTEでも当初はLTEエリア外では3Gの回線交換に音声呼を受け渡すSRVCCと呼ばれる技術が導入されます。

 こうした環境の下ではモニタリングも、LTEだけでなく、3Gなど他のネットワークを含めた全体を監視することが求められるのです。

 そこでまずVoLTEの時代に求められるモニタリングの要件をまとめますと、(1)すべてのロケーション、インターフェース、テクノロジーに対応できること、(2)リンクごと、デバイスごと、地域ごとにネットワークの管理ができること、(3)巨大なデータ、多数のプローブもマネジメントできるスケーラビリティをもつことの3つになるのではないでしょうか。弊社のモニタリングソリューションは、こうした要件を満たし得るものだと自負しております。

 もう1つ、私どものモニタリングソリューションの大きな特徴といえるのが、IDMC(Intelligent Data Mediation & Correlation)という装置を介することで、ネットワーク内のプローブやネットワーク機器から得られる、コントロールプレーン(Cプレーン)とユーザープレーン(Uプレーン)の双方の情報を関連付け、分析が可能である点です。

C-PLANEの解析、U-PLANEの関連付けによる統合監視
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これにより、どの電話番号からどの電話番号への通話品質が悪化しているといった状況を直ちに把握することが可能になります。VoIPで問題になることの多い片通話も発見することが可能です。CプレーンとUプレーンを個別に見ていたのでは、これらを実現することができません。

 CプレーンとUプレーンの関連付けは、電話だけではなく、LTEのデータ通信においても活用できます。

C-PLANEの解析、U-PLANEの関連付け
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 ユーザーのパケットの中身を解析しネットワーク監視・制御に利用するソリューションは、弊社を含む多くのベンダーから提供されるようになっていますが、他社の製品は多くがパケット解析からスタートしています。これに対してVoIPの負荷試験からスタートした弊社の製品は、アプリケーション側に強い――Uプレーンのパケットの解析情報とCプレーンの情報の関連付けを得意としています。

 私どものソリューションでは、例えばCプレーンに乗っている端末識別情報とUプレーンのアプリケーション情報(ブラウザーの種類など)を関連付けることで、イレギュラーなテザリングを行っているユーザーをある程度、把握することも可能です。

 あるいは、非常に多くのデータ通信を行うアプリケーションを使っているユーザーを特定して速度規制を行うといった運用も実現できます。接続、切断を頻繁に繰り返すようなアプリケーションを特定して、開発元に改善を要請することも可能になります。

 CプレーンとUプレーンを関連付けることで、従来のツールでは得られなかった新たな情報、ユーザーごとのアプリケーションの動きをモニタリングすることが可能になるのです。

(文責・編集部)

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