私どもコンピュウェアは、1973年の設立以来、メーンフレームを手掛けてきた会社で、本社は米国デトロイトにあります。本日は弊社が次のビジネスの柱として注力しているAPM(アプリケーションパフォーマンス管理)をテーマに話をして参ります。
APMは、データセンターなどで行われているネットワークパフォーマンス管理よりも上位の、主にレイヤ3以上にフォーカスし、ユーザ体感を軸としてシステムの管理を行っていこうとするものです。コンピュウェアは、この分野で高い実績を持っていたゴメス、ダイナトレースソフトウェアの2社をそれぞれ09年、11年に買収し、12年から日本でもAPMの展開を本格化させたところです。
弊社のAPMソリューションは、金融、メディア・エンターテインメント、ハイテク、さらにはリテール、例えばアマゾンやeBayなどといった企業に広く採用頂いています。通信分野では米国のAT&Tやベライゾン、欧州のフランステレコム、ボーダフォン、テレストラなど多くの事業者に導入頂いています。
従来、通信ネットワークサービスでは端末間のQoSやSLAを担保すれば十分と思われていましたが、コンテンツビジネスの広がりや新たなアプリケーションの出現、デバイスの多様化が進み、通信事業者にエンド・ツー・エンドでユーザ体感を担保することが強く求められるようになってきたことが背景にあります。APMはこうした新時代のネットワークサービスのニーズに対応するソリューションです。
ある調査では、モバイルユーザの60%がWebアクセスに不満を持っているという結果が得られています。
例えば近年のWebユーザは3秒以内で反応が帰ってくることを求めていると言われますが、これを実現できているサイトは殆どありません。弊社のソリューションを用いて米国の280のサイトを対象に行われた調査でも、待ち時間が長くなるほど途中でサイトから離脱してしまうユーザが増えることが明確に現れています。ネット上でのビジネスの成功には、データセンター内だけでなくユーザの端末・アプリケーションを含めたエンド・ツー・エンドのパフォーマンスを把握することが不可欠なのです。
弊社ではこれに応えるため、弊社のAPMソリューションをSaaS型で提供しています。
このソリューションは、世界の100以上のインターネットバックボーン、日本ではNTTとKDDIの設備の中に、Webサーバのレスポンスタイムや可用性を測定できる仕組みを設けております。これによってサービスのパフォーマンスのベースラインを測定することが可能です。この仕組みでは500以上のOS、ブラウザの組み合わせを擬似的に作ることができるので、ユーザ環境の違いによるパフォーマンスへの影響を測定・把握することができます。
これに加えて、弊社ではエージェントソフトを入れた15万台以上のPCを世界中に配置することで、地域・国ごとのユーザの状況をも把握できる体制を整えおり、これらのエージェントを使ってWebサーバの負荷試験を行うことが可能です。
また別途、モバイル端末のユーザ体感を把握するソリューションの提供も初めています。これはWebサーバのページやユーザのアプリにタグを記述しておくことで、Webにアクセスしてページが表示されるまでの時間や、ユーザのサイトにおける動態などを把握できるようにするものです。このデータを分析することで、例えば商品の説明ページにアクセスしたユーザの中で実際に商品を購入し、決済を行った人の割合や、ユーザが途中でサイトを離脱した要因を知ることができます。
タブレットなどのモバイル端末の普及に伴いネットワークの環境は大きく変化しました。この中で顧客満足度の高いサービスを提供するには、今、ユーザに何が起きているのかをきちんと把握できる仕組みが必要です。弊社のソリューションが皆様のビジネスの一助になれば幸いです。
(文責・編集部)