第16回次世代ネットワーク&サービスコンファレンス 講演抄録
SDN/NFVが可能にする DCの通信サービスへの活用
コントロン カナダ SDN & NFV 担当、グローバル ビジネス ディベロップメント マネージャー Luc-Yves Pagal Vinette(リュック・イヴ パガル ヴィネット)氏

コントロンは高密度実装を可能にするデータセンター向けのハードウェアプラットフォーム「SymKloud」をオープンソフトウェアと組み合わせSDN/NFVとして利用できるようにしようとしている。構築・運用コストの大幅な低減を可能にするSymKloudは、通信事業者が新たな時代のネットワークへの移行する際の有力な選択肢になり得る。

 ここでは、私どもコントロンのSDN/NFV分野への取り組みについて紹介をさせていただきたいと思います。

 コントロンは、組込みコンピューティング分野において高い実績を持つ企業で、BMWから独立する形で1959年に設立されました。従業員は世界で約1300名、売上は日本円で550億円程になります。本社はドイツのアウグスブルグにあり、フランクフルト株式市場に上場しています。近年はアジア地区での事業に力を入れていて、2014年に日本オフィスを立ち上げています。

 当社は、ハードウェアをOEM供給するプラットフォーム事業を主力としており、そのノウハウを活かしスイッチや複数のサーバーの機能を1つの筐体に統合できる「SymKloud(シムクラウド)」というプラットフォームを展開し、データセンターなどで広くお使いいただいています。SymKloudは、4kのビデオの配信に対応可能なCDNプラットフォームとしてもご利用いただいており、我々はさらにこれをオープンソフトウェアと組み合わせてSDN/NFVのプラットフォームとして使っていただけるようにしようとしています。

 SymKloudの特長は、従来のシステムに比べ実装密度を大幅に高めることができる点にあります。ATCAと同じアーキテクチャを用いているため、従来と同様の信頼性、冗長性を保ったまま、安価にシステムを構築することが可能になります。

 同時にメンテナンス/サポート、消費電力、スペースなどに関わる運用コストも大幅に節減することができます。x86/ARMのブレードを搭載することで、今後登場してくるさまざまなアプリケーションに対応できることも、SymKloudの大きな特長と言えるでしょう。

 コントロンでは、SymKloudだけでなく、NAS(ストレージ)、100Gイーサネットなど多様な製品をラインナップすることで、通信事業者の新時代のネットワークへの移行をサポートして参ります。

 サービスプロバイダーのビジネスでは、競争が激化する中、コストの削減だけでなく、いかにして付加価値の高いサービスを提供していくかが大きな課題となっています。データセンターのビジネスでも同じです。当社のソリューションはこうした課題を解決する手立てにもなるはずです。

 当社ではOpenStackを搭載した「SymStack」を提供、サービスオーケストレーションツールのjujuを用い運用の自動化を可能にしています。

 また、将来のプランになりますが、OpenDaylightなどの仕様に対応したSDNコントローラの提供も計画しています。

 ハイパーバイザーのレイヤにおいても、多様な仮想化製品の利用を可能にしており、コンテナへの対応も計画中です。データセンター事業者にとっては、使い勝手のよいプラットフォームといえます。

 今、我々が注目している動きに、SDN/NFV技術を用いてデータセンターを通信サービスの「局舎」として活用していこうとするオープンソースのイニシアティブ「CORD」があります。CORDでは、モバイル、エンタープライズ、ブロードバンドの3つのサービスの提供が想定されています。SymKloudは、この構想を実現する有力な手段に成り得るはずです。

 我々は、SDN/NFVなどの新しい技術を通信事業者・データセンター事業者の既存の投資を無駄にすることなく導入できるようにすること、そして市場で差別化を図る上で重要なファクターとなるオープン化とイノベーションの双方を提供していくことに力を注いでいます。コントロンは新たな時代のネットワークに円滑な移行を支援できる製品・サービスの提供を通じ、通信事業者のコスト削減・収益改善に貢献して参ります。

(文責・編集部)

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