今日はネットワークの自動化をテーマに話をしていきたいと思います。SDN/NFVや5Gの導入をはじめ、通信事業者のネットワークは今大きな変革期に差し掛かっています。こうした中、特にここ半年程でネットワークの自動化へのデマンドが急速に高まってきていると感じています。ここでは技術的な話より、どのような部分が業界で注目され、どのような方向に動いているのか。自動化のトレンドのような部分を紹介していこうと思います。
最近トランスフォーメーション(事業構造・業務プロセスの変革)という言葉がよく使われますが、弊社CEOのラミ・ラヒムはネットワークのトランスフォーメーションを一言で表現すると「自動化」になると述べています。オペレーションをシンプルにし、様々なサービスをオンタイムで提供するには、人の介在をできるだけ減らすことが重要だということです。我々はネットワークの自動化の実現を進めるには以下の3つの特性が求められると見ています。
1つ目がFCAPS 管理、特に可視化の部分です。現在のネットワーク管理システムを拡張し、デバイス・コンフィグ管理、アカウンティング・ソフトウエア更新・メンテナンス、セキュリティなどの機能を、ドメイン・ネットワークの枠を超えて実現する必要があります。
2つ目がスピードと柔軟性です。新サービスの迅速な提供、需要に応じたスケールイン・アウトやアプリケーション毎にカスタマイズができることが大切です。
3つ目、非常に重要な要素となるのがオープン化・マルチベンダー化です。オープンな技術を使うことでベンダーロックインを回避できます。ネットワーク構成を柔軟かつ迅速に変更・追加できる標準APIや、実装に当たってのYANGなどの標準データモデルのサポートも重要です。仮想化にともないネットワークはこうした要件を満たすものに進化しつつあります。既に始めているユーザもいらっしゃいますが、1〜2年先のネットワークの提案には自動化の構想が必ず含まれるようになると当社では見ています。
我々は、現状でネットワークの自動化を進める上で重要なポイントの1つに、ネットワークエンジニアとソフトウェアエンジニアが協力して取り組む体制を整えることがあると思っています。ネットワークエンジニアは、自動化に対する経験やスキルが十分ではなく、自動化を困難なものと捉えがちです 。他方ソフトウェアエンジニアは、必要に迫られる形で、自動化により数百台、数千台のサーバーの導入管理などを行っており、それを実現するAnsible、Rubbyなどのフレームワークのスキルも持っていますが、ネットワークの業務フロー経験が十分でない側面もあります。とはいえこうした双方の人材を確保することは容易ではありません。そこで弊社では、自動化に関わるソフトウェア部分の開発をお手伝いできる「自動化プロフェッショナルサービス」を立ち上げ、自動化の支援を始めています。
自動化は通信事業者のビジネスに、多くのメリットをもたらします。1つ目がサービスの信頼性の向上です。操作性及びスピードの向上だけでなく、作業の標準化で属人化されない均等な品質が期待できます。自動復旧でダウンタイムの極小化も図れます。2つ目がOPEXの削減です。運用工数、夜間作業、試験項目などを大幅に削減できる 。最も大きいのはビジネス機会の拡大です。サービスを迅速に提供できるようになるだけでなく、作業の効率化により高いスキルを持った技術者を企画・計画に振り向けることができます。
ジュニパーでは、エンドツーエンドの自動化を可能にするContrail(クラウド基盤SDNコントローラー)、CSO(オーケストレーター)、JUNOS Space(ネットワーク管理)などの管理ソリューション、デバイスの自動化を行うツールキットの展開などを通じて、通信事業者のビジネス機会の拡大に貢献していきたいと考えています。
(文責・編集部)