2015年春に展開を開始したPREMIUM 4Gを中心にドコモのネットワークの高度化への取り組みと、これを5Gにどうつなげていこうとしているかについて話をして参ります。
PREMIUM 4GはLTEの拡張規格であるLTE-Advancedの技術を用いたサービスで、ドコモでは春以降これをさらに進化させてきています。
PREMIUM 4Gの進化には大きく3つのポイントがあります。その1つが、よくカタログスペックと言われる最高速度の更新です。当社は2013年9月に「フルLTE」のキャッチフレーズで、国内最速となる受信時最大150Mbpsのモバイル通信サービスの提供を開始しました。さらに2015年3月にはPREMIUM 4Gの名称で、受信時最大225Mbpsのサービスを開始しています。これは複数の電波を束ねて高速化を図るキャリアアグリゲーション(CA)技術を用いて実現したものです。
秋には9月25日のiPhone 6s/6s Plusの発売に合わせて、これらの端末で利用できる2GHz帯と1.7GHz帯のCAによる受信時最大262.5Mbpsのサービスを導入しました。10月29日には2GHz帯、1.5GHz帯と800MHz帯の3波のCAによる受信時最大300Mbpsのサービスを開始しています。ドコモは国内最速記録を塗り替えてきたのです。
2番目が、ドコモがLTE/LTE-Advanced(以下、LTEと表記)で使っている800MHz 、1.5GHz、1.7GHz、2GHzの4つの周波数帯をCAでうまく組み合わせて効率的な通信を実現することです。現在は受信時最大187.5〜300Mbpsを実現できる6つの組み合わせを提供し、端末スペックやその場所の電波環境などを判断し、最適な組み合わせでご利用いただけるようにしています。
3番目がPREMIUM 4Gのエリアをお客様が集中する都市部に重点展開していくことです。LTEの人口カバー率はすでに99%を超え、かなり面的な広がりがでてきました。そこでこれからは都市部での通信容量の確保に力点を置き、PREMIUM 4Gでさらにきめ細やかなエリアを整備していこうとしているのです。PREMIUM 4Gでは多数の基地局の信号処理を1カ所でまとめて行う高度化C-RANという技術が用いられており、CAの実現や通信品質の向上に大きく寄与しています。PREMIUM 4Gのサービス提供都市は当初38でしたが、9月末時点で640となっており、今年度末には900以上に拡大する予定です。
我々はこの3つの進化によって、お客様が場所や時間にかかわらず、快適な通信をご利用いただけるようにしたいと考えているのです。
ではこれから、モバイルネットワークはどう進化していくのでしょうか。
PREMIUM 4Gについては、まず2016年度に受信時最大370Mbpsの実現を計画しています。その先についてもデータトラフィックの伸びに対処するためにMIMOの高度化など、進化を図って参ります。さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け5Gを導入し、IoT時代のニーズにも応えていきたいと考えています。
5Gではさらなる高速・大容量化だけでなく、IoTを実現するための膨大な接続数への対応や省電力化、ミッションクリティカルなユースケースに対応するための低遅延化などが求められています。これを実現するためにドコモは国内外のベンダーとの共同実験など多方面での取り組みを進めており、標準化にも貢献して参ります。
東京オリンピック・パラリンピックは、前回の東京大会を実施したエリアと新たに開発される東京ベイエリアの2つの地区を中心に行われることになっています。我々はこの2エリアで5Gの設備を丁寧に整備していきたいと考えています。
ドコモは、通信を通じてお客様の生活をさらに快適なものにできるよう、これからも全力を尽くして参ります。
(文責・編集部)