ドコモは、主力の移動通信事業を土台に新たなサービス・事業を創造し、個人や企業のお客様の生活・ビジネスをスマートなものにしていきたいという想いから「スマートライフのパートナーへ」のキャッチフレーズの下、新たな価値創造に向けた取り組みを進めています。本日はドコモのこの新たなチャレンジについて話をして参ります。
日本の携帯電話の契約者数は1億3000万弱に達し、その半分がスマートフォンとなっています。私どもは、このスマホが生活やビジネスをスマートなものに変えていくと考えていて、さらに普及させていきたいと思っています。2018年夏には恐らく普及率が70%を超えるのではないでしょうか。
他方、スマホの普及や用途拡大に伴い、モバイルのデータトラフィックは3キャリア平均で年1.5倍程度と非常に高い伸びを見せていて、東京オリンピックが開催される2020年には2010年の1000倍になると見られています。LTE-Advancedや5Gでこうしたトラフィックに対応できるネットワークをしっかり作っていくことが、我々の大きな課題になります。
こうした中で悩ましいのが、これまで我々のビジネスを支えてきた音声収入が大幅に下がってきていることです。他方、データ通信収入は大きく伸びていて、本来なら音声収入の減少をこれで補いたいところですが、そこまではいっていません。そこで、私どもはネットワークを使って新たなサービスを創出し、増収につなげていかなければならないと考えているのです。
もっともこのサービス競争の領域では、AmazonやGoogle、FacebookなどのOTTがグローバルでビジネスを席巻しています。そうした中で、我々は端末からネットワーク、サービスまでを垂直方向で統合して魅力あるサービスを創出できるかを問われています。ここをいかに進展、発展、進化させられるかが、大きな課題となります。
サービス領域に我々がシフトしようとしている理由にもう1つ、国内の携帯電話市場が数的には飽和し、コストをかけてお客様を取り合っても意味がなくなっていることがあります。「顧客獲得競争」の時代から、さまざまなパートナーと組んで新しいサービス・ビジネス、お客様に喜んでいただける新しい価値を創造する「付加価値協創」の時代に入ったと考えているのです。
この領域ではキャリアであるドコモだけでできることはほとんどありません。協創という言葉は、言い換えればパートナーのお持ちになっているさまざまなアセット(資産)を、ドコモが持っているアセット、例えば課金のプラットフォームやポイントプログラムなどと組み合わせて新しい価値を生み出していこうということになると思います。これにより、例えばIoTの推進、社会的課題の解決、地方創生、オリンピックへの対応などの新たな社会的な価値を生み出すことも可能になります。
私どもはよく「+d」という言い方をしています。パートナーの強みにドコモの強みを足して新しい価値を生み出すということで、主役はあくまでもパートナーの皆様だということです。
ではドコモの強みは何なのかということですが、例えば我々のdマーケットでは3200万の会員にメールマガジンを配信していますが、これは楽天の約3倍の規模になります。ポイントサービスでも私どもの「dポイント」は、Tポイントの3倍の年600億円のポイントを発行しています。クレジットカードの「dカード」の取扱高も1.6兆円程になっています。こうした顧客基盤、私どもの課金・決済、自動翻訳、IoTなどのプラットフォーム、そしてネットワークなどを活用していただくことで、お客様に新たな価値を提供していきたい。すでに小売、医療・健康、教育学習、農業、IoTなどの分野で多くのパートナーとこうした取り組みを進めています。ドコモは「付加価値協創企業」として、多くの企業の皆様とともに歩んで参ります。
(文責・編集部)