第13回次世代ネットワーク&サービスコンファレンス 講演抄録
グローバルネットワークを活かし 通信事業者ならではのクラウドを提供
NTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長 庄司哲也氏

日本企業のクラウド活用の機運が高まってきた。特にグローバル展開を行っている企業では、クラウドを活用し海外拠点で構築してきたICT環境を統合する動きが活発になっている。NTTコミュニケーションズは、グローバル規模のトータルICTアウトソーシングを通信事業者ならではの高品質、高信頼性のサービスとして提供し、企業の経営改革に貢献していく。

 ここでは私どもNTTコミュニケーションズが戦略事業として注力しているグローバルクラウドサービスの紹介をさせていただきたいと思います。

 ご承知の通り、弊社はNTTグループで長距離・国際通信を担っています。昨年度の売上1兆1900億円の2割弱を海外事業で得ており、1万8000名の従業員の3分の1強、6700名が海外で仕事をしています。

 30の国・地域の80都市以上に拠点を置いており、海外の傘下企業やパートナーとともに世界160以上の国/地域でグローバルネットワークサービスを提供しています。クラウドサービスを支えるデータセンターもアジア・欧州を中心に140以上展開しています。

 アベノミクスの影響もあるのでしょう。ここにきて日本の企業の間にもクラウドを活用していこうという機運が高まってきています。

 対象となるシステムもWebサイトやメールなどの業務系システムだけでなく、会計/財務管理、サプライチェーンマネジメントなど基幹システムに広がってきました。導入目的もコスト削減だけでなく、事業領域の拡大、事業構造の変革、グローバル展開の迅速化など攻めの性格を持つものが多くなっています。事業継続(BCP)の強化も導入の大きな動機の1つです。

 最近ではグローバル展開をされている企業が、海外拠点で独自に整備されているITC環境をクラウドを活用して統合しコスト削減やガバナンスの強化を実現しようという動きが顕著になっていまして、弊社がお手伝いをさせていただくケースも増えています。

 こうしたグローバルクラウド事業での弊社の強みは、自らグローバルネットワークを構築し、ネットワークとクラウドの一体的な保守・運用を通じて高い品質と信頼性を実現していることです。我々はこれを「キャリアクラウド」と名付けて、強く訴求しています。

 弊社および弊社のグループ企業が展開しているデータセンターは11月時点で143拠点あり、うち50が海外です。サーバルームの床面積は17.1万平方米に及んでいて、データセンターの増設を急ピッチで進めています。例えば2013年5月に開設した香港のデータセンターは証券取引所に隣接する好立地と海底ケーブルの直収による遅延の小ささなどが評価され、オープン初日に8割方が埋まってしまいました。10月に発表した米RagingWireなど、海外のデータセンター企業の買収も進めており、今年度中に床面積は海外の方が広くなります。

 2012年に運用を開始したASEや14年運用開始予定のAPGなど、低遅延、高信頼性の大容量光海底ケーブルを日本、米国、アジア各国の間に整備していることも我々の大きな強みです。

 2013年10月にはネットワークの構築・運用を企業に代わって行うマネージドサービスで実績を持つ米バーテラ社の買収を発表いたしました。

 これにより弊社のグローバルネットワーク「Arcstar Universal One」は、世界196の国の地域をカバーできるようになります。加えてバーテラ社が強みとするNFV/SDN、グローバルでの一元保守などの技術・ノウハウを活用し、@SDN技術を用いて柔軟なネットワーク運用を実現する「仮想オーバーレイ機能」、ANFV技術を活用してファイヤーウォールや高速化装置などの機能をデータセンター側で提供する「仮想ネットワーク仮想アプライアンス機能」を14年中に提供します。

 弊社はこれらのリソースを活用し企業の基幹システムにも対応できる「Bizホスティング Enterprise Cloud」、Webアプリケーションなどでも利用しやすい「BizホスティングCloud n」の2つの企業向けクラウドサービスを提供、導入支援やセキュリティ面のコンサルティングにも力を入れております。アプリケーションの分野では、SI/ベンダーの皆様ともタッグを組み、グローバルクラウドの普及を進めていきたいと考えております。

(文責・編集部)

トップページへ戻る
page top