KDDIは企業向けのクラウドサービスに本腰を入れてきている。Google AppsやOffice 365などグローバルベストのSaaS型サービスをデバイス、ネットワークと組み合わせて安価に提供。さらにそのクラウド基盤を一般企業にも開放し、閉域サービスの「KDDI Wide Area Virtual Switch」と組み合わせ、快適で高い信頼性を持つIaaS環境を実現する。
ここでは私どもの法人向けクラウド戦略を紹介させていただきたいと思います。スマートフォンやタブレットの普及、クラウドサービスの利用拡大に伴って、企業ITは従来のパソコンやサーバー、ソフトウェアなどで構築される「所有するIT(アセットヘヴィー)」から、「利用するIT(アセットライト)」に変化してきています。
その構成要素であるデバイス、ネットワーク、クラウドの3つをすべて提供、企業のワークスタイル変革のお手伝いをしていく――これがKDDIの法人クラウド戦略の基本になります。
デバイスについてはiPhoneやAndroid端末など多様な端末を自由に選んで使っていただけるようにしています。ネットワークも4GLTEから、auひかりビジネス、KDDI Wide Area Virtual Switch(WVS)など、今使いたいところで利用できる多様なサービスを提供します。その上でストレージからメッセージング、交通費精算まで多様なSaaS型サービスをご利用いただけるようにする。マルチデバイス、マルチネットワーク、マルチユースという3M戦略のファクターをフルに活用していることが我々のクラウドビジネスの大きな特徴となっています。
さらに2013年11月1日からは、SaaS型サービスで「Google Apps」「Microsoft Office 365」の2つの「グローバルベスト」――世界で広く使われているアプリケーションの提供を開始しました。導入の理由の1つは、これらが数千万、数億のユーザーを背景に積極的な開発投資を行っており機能面で優れていることにあります。さらにもう1つ、OfficeやGoogle Appsは、例えばベトナムなどの開発途上国にも普及しており、特別な教育をしなくても国内外で同じシステムが使えることも大きな理由です。とはいえ海外の製品をそのまま持ってきても、日本の企業では使いづらい部分がございます。そこで、Google Appsではサテライトオフィス、Office 365はネクストセットと業務提携して、シングルサインオンへの対応や会社組織に応じたカスタマイズを実現いたしました。
導入に際しての技術サポートや導入後のエンドユーザーサポートもオプションで提供しております。この取り組みの最大の特徴は料金面にあります。当社のデバイスをお使いいただければ、24カ月間月額525円を料金から割引きますのでGoogle AppsやOffice 365のメールサービスはほとんど負担なくご利用になれます。指定の回線を契約していただくと24カ月間月額1480円が割引になります。多くの企業に活用していただければと考えております。
またこれらのSaaS型サービスは、「KDDIクラウドプラットフォームサービス」という基盤の上で展開されているのですが、第4四半期からはこれをIaaS型サービスとして一般の企業にご利用いただけるようにします。これを弊社の閉域サービスWVSと組み合わせることで、高信頼性のクラウド環境を低料金で、しかも多様なデバイスでお使いいただけます。
最後に、少し先のお話をいたします。クラウドを利用する際に問題になるネットワークコストや作業負担、VLANの上限問題などを解決する手段として今SDNへの期待感が強くなっています。しかし現状のSDNには、コントローラーが単一の障害点になりうることや、スイッチがまだ高価であるなどの問題点も残っております。
そこでKDDIでは研究所で、PC用の汎用チップセットのGPUを活用し、既存のOpenFlowスイッチの数十分の1のコストで100倍のトラフィックを処理でき、冗長構成にも対応可能な新技術「KDDI LightFlowスイッチ」を開発いたしました。
KDDIはこれらの最新技術を用い安価で柔軟性の高いSDNネットワークを実現。我々の超高速LTEインフラと組み合わせて、さらに快適なクラウド環境を実現して参ります。
(文責・編集部)