――御社のカスタマーサービス、とくにコールセンター運営は、同業・異業を問わず高い評価を得ています。サービスに関するコンセプトなど、ここ数年で変化した点があれば教えてください。
木下 当社が対象と捉えているお客様は、“サービスに対する期待値”が比較的高いと認識しています。サービスメニューや体制作りに関する基本コンセプトは、その期待に対し、「全社的な取り組みとして応えていく」ということです。そこで、さまざまな顧客接点を全方位的に最適化する『エンド・トゥ・エンド
カスタマーエクスペリエンス』というコンセプトを打ち出しています。
これはコールセンターだけでなく、Webサイトやフェース・トゥ・フェースで行っているイベントなど、お客様とコンタクトする接点から発生するプロセスをカスタマーの立場から見直す取り組みで、2004年頃から着手しています。
――最近、外資系企業を中心にカスタマーサービスやカスタマー・サティスファクションではなく、御社と同じように“カスタマーエクスペリエンス”という言葉を用いる傾向が強まっていると感じるのですが、具体的にはどう違うのでしょうか。
木下 『サービス』という言葉から受ける印象は、提供側―つまり企業側の視点に終始しているように感じられます。一方で『エクスペリエンス』とは、完全に“お客様の視点”という意味を持つと考えています。これをベースに顧客対応を見直すことで、お客様に対し満足にとどまらない喜び(Delighted)を提供し、強固な関係を築く(Engaged)ことを目標としています。
近年のサービスの多様化とそれに伴うお客様の高まる期待を考えれば、「顧客満足(カスタマー・サティスファクション)」ではコンセプトとして掲げるには不十分です。当社では、カスタマーエクスペリエンスを満足を超越した「感動体験」と表現することが多いのですが、いかなるタッチポイントにおいても心に訴えかける体験をしていただくことを目指しています。コールセンターはその中核であり、オペレータを“コンサルタント”と称しているのもその表れです。
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