リックテレコムWeb雑誌書籍展示会・セミナー 会社案内個人情報保護方針採用情報

テレコミュニケーションコンピューターテレフォニーCOMPASS

コールセンタージャパンドットコム

CTご案内
編集コンセプト
2010年8月号
2010年7月号
2010年6月号
2010年5月号
2010年4月号
2010年3月号
2010年2月号
2010年1月号


2009年度分

2008年度分

2007年度分

2006年度分

2005年度分

2004年度分

2003年度分

2002年度分

購読の申し込みはこちら

広告のご案内
広告掲載企業
取り扱い書店
お問い合わせ先

媒体資料PDF(320k)

CTホットライン

CT TOP最新号のお知らせ編集コンセプト購読の申し込み広告のご案内



 2007年8月号

「コスト最優先」の人材活用は無理がある
国際調査で判明した国内雇用モデルの限界

東京大学社会科学研究所
教授
仁田 道夫氏


コールセンターの労働力は、非正規雇用者に頼るところが大きい――今や常識とされるこの事実は、国際調査の結果、日本特有のものであることがわかった。国内の非正規雇用率87%に対し、国際平均は29%。東京大学社会科学研究所の仁田道夫教授は、「この10年で急発展したコールセンター業界は、景気回復で労働力が枯渇し始めた今、運営モデルを見直す転換期を迎えている」と指摘する。

Profile
仁田 道夫(にった みちお)
東京大学社会科学研究所 教授

1948年 山口県生まれ
1978年   東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
1978年   東京大学社会科学研究所助手
1980年   武蔵大学経済学部助教授
1983〜4年   米国MITで在外研究
1990年   東京大学社会科学研究所助教授
1991〜2年   米国ミシガン州立大学で在外研究
1993年   東京大学社会科学研究所教授

――コールセンターの人材管理について調査されたとのことですが、その目的と概要を教えてください。

仁田 2005年から2006年にかけて、アンケートをベースにコールセンターの人材管理について調査を行いました。調査の背景には、(1)コールセンターは、近年、急激に就業者数が増加した職場であるにも関わらず、雇用・就業に関わる基本的な事実が明らかにされていないこと、(2)就業者の処遇には多くの課題があると言われており、労働研究の観点から実態を明らかにする必要があったこと、(3)米・仏・英など世界20カ国の研究者がネットワークを組んで、共通の枠組みを使って国際比較を行う共同研究の一環として実施する機会を得たこと――の3点があります。
 アンケート調査は2段階で行い、主にコールセンターの有無を聞いた一次調査では335社が回答。そのうちコールセンターを持つ252社に対し、運用状況を掘り下げて聞いた二次調査を実施した結果、159社の回答を得ました。調査を通して感じたのは、従業員の構成が非正規雇用に予想以上に偏っているということです。フルタイムで勤務する正社員の比率は13%にとどまり、一方でフルタイム有期契約社員率は43%、パートタイムと合わせると有期契約社員率は75%に達しています。残りの12%は、派遣社員です。この傾向は、管理職やSVなどを除くオペレータに限定するとさらに顕著になり、正社員率はわずか6%という結果になりました。

――他国と比べてみても、日本はとくに非正規雇用の活用に偏っているのでしょうか。

仁田 今度、報告が発表された世界17カ国(日本と中国は含まない)の調査結果によれば、非正規雇用率の平均は29%で、日本は3倍近いです。この17カ国のうち、他に非正規雇用率が過半数を超えているのは韓国(60%超)とスペイン(50%)のみということからも、突出していると言えるでしょう。
 もちろん、雇用形態の定義や意味が国によって異なっているという事情はあります。例えば、正社員率が100%と出たインドは、英語圏諸国のオフショア・コールセンターが多いので、実態は“他国企業の業務を請け負っているエージェンシーの正社員”ということになります。また、米国やイギリス、カナダは正社員比率が8割を占めていますが、基本的に法的な長期雇用義務がなく、日本の正社員とはイメージが異なります。
 また、日本の場合は、コールセンター業務の多くをアウトソーサーが担っているという特徴があります。コールセンター業界に限らず、日本はアウトソーシングの文化が根付いており、コールセンターはその最たる業界のひとつだと言えるでしょう。

リックテレコムメール配信サービス


 
Copyright RIC TELECOM. All Rights Reserved.