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 2005年7月号

顧客急増でも営業時間短縮?!
ピーク時に合わせたシフト最適化で呼損を抑える

楽天証券 執行役員マーケティング本部長
楠 雄治氏


株式相場は活性化しており、「証券取引は一部の資産家が手をつけるもの」という既成概念は崩れ、手軽に始めることができるネット証券を中心に、個人投資家が急増している。実際に楽天証券では、この1年間で累計口座数を1.5倍強に伸ばし、今も毎月1万口座以上の新規加入を続伸している。当然、問い合わせも急増したため、eセルフサービス強化や一般問い合わせ対応の外部委託などで“量”の課題に取り組んできた。その結果、呼損率も低下してきたことから、今、改めてサービスレベルの向上に乗り出す。「証券取引のピーク時に合わせてオペレータシフトを最適化することで、営業時間を短縮してもCSを維持できる体制をとりました」と楠 雄治執行役員 マーケティング本部長は話す。

Profile
楠 雄治(くすのき ゆうじ)
楽天証券 執行役員マーケティング本部長
広島市生まれ
1986年、広島大学卒
1996年、シカゴ大学MBA取得
1986年、日本ディジタルイクイップメント入社
1996年、ATカーニー入社
1999年、DLJディレクトSFG証券(現楽天証券)入社

――株式相場が好況な中、個人投資家による売買が活発になり、特にネット証券は急速に伸びています。御社の状況をお聞かせください。

 弊社もこの1年で急伸しており、例えば、1年前は新規口座の申し込みが月に3000〜4000程度でしたが、最近は毎月約1万口座以上の申し込みがあります。4月実績では、1万3000もの新規口座開設がありました。累計口座数は今年3月末の時点で25万口座、この1年で56%増加しています。このように新しいお客様が投資機会を求め入ってくるということに加え、マーケットが好調という背景があるため既存のお客様も活発に取り引きをされるようになっています。この2つの波により、収益は順調に伸びており、前年度3月期の連結業績では、営業収益が140億円、前期比33.4%増という成果を出しています。

顧客急増を見越しWebサイトをリニューアル
初心者ガイドを設置しフォロー拡充

――急増する顧客に対応するには、窓口の強化が大きな課題になりますね。

 まず、Webサポートの強化に着手しました。弊社は2003年11月の楽天買収により、昨年7月に社名をDLJディレクトSFG証券から楽天証券へと変更しています。昨秋はちょうど楽天が野球チームの買収に名乗りを上げたこともあって、一気に知名度が上がり新規口座数が3倍増になりました。こうした社名変更に伴うお客様急増はある程度見越すことができていたため、事前にeセルフサービスを強化するなどの対応をとることができたのです。具体的には、ライトナウのFAQツール「eService Center」を導入して“よくあるお問い合わせ”というコンテンツの充実を図りました。また、昨年11月にはWebサイトの全面改訂を行っています。全面改訂の第一弾では、特に利用者の多い国内株に関してのみ商品ラインナップの配置を見やすくしました。顧客ごとの取引状況や登録状況の表示を可能にするなど、利用者の操作性・利便性の向上を重視した全面リニューアルです。
 その後も、どういう問い合わせが頻繁にあるかという変化に対応しながら細かくリニューアルを行っています。例えば、ログインに関する質問が多かったため、Q&Aへのリンクボタンをログインボタンの近くに配置し、お客様の自己解決の導線を強化しました。リンクボタンの移動後、Q&Aのページビューは跳ね上がり、ログインに関する問い合わせが減っています。また、最近は証券取り引きに対する関心が年齢・職業・性別を問わず拡がっているため、株式投資初心者のお客様からの問い合わせが多く、以前は皆無に近かった基礎知識に関する質問が増えています。このため「初めての方のお取り引きガイド」というコンテンツを追加し、基本的な証券知識に関しては、お客様に自己学習していただけるよう促しています。

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