――4月と10月の相次ぐグループ内子会社間の合併の背景と狙いはどこにあるのでしょうか。
伊東 2004年4月に、人材派遣・紹介、電話通訳・翻訳などを請け負うKDDIテレサーブと、10月にビル総合管理、保険代理店事業、ツーリスト事業を営むKDDI総合サービスをそれぞれKDDIテレマーケティングに吸収合併しました。労働集約型の子会社を一つにまとめることでシナジー効果を上げ、経営体質の強化を図るのが狙いです。この背景に、KDDI本体の基本戦略で、大競争時代を勝ち抜くためグループ子会社の自立と強化があります。
また、3社統合の一体感をより高めるため、12月1日に新社名を「KDDIエボルバ」と改めました。エボルバ(EVOLVA)は、成長し進化しつづける意思を表す「EVOLUTION」と、高い付加価値のある人材サービス提供を企業理念とすることから「VALUE」を組み合わせたものです。コミュニケーションサービス業は、時代とともに様相が変わり、新商品(サービス)は出来上がった段階からすぐに陳腐化が始まります。成長と進化が業界必須の要点になると考え、新社名に織り込んだのです。また、KDDIを新社名の冠として残し、通信事業者の子会社であることを明確にしたことについては、他の通信事業者の仕事を受託できないなどのデメリットについて社内で議論しましたが、むしろ子会社であることのメリットの方を重視し、あえて新社名からはずしませんでした。ただし、「テレマーケティング」というのは、業容業態を自ら小さく閉じ込めてしまうイメージがあるため、合併による業務拡大を機に社名からはずすことにしました。
――合併による業容の変化や業績について教えてください。
伊東 合併前の年間売り上げは、KDDIテレマーケティングが約110億円、KDDIテレサーブが約40億円、KDDI総合サービスが約30億円です。3社間で重複するような売り上げ計上はほとんどなかったので、単純合算(KDDI総合サービスは下期分のみ)して事業収益の伸びを含め、2004年度の業績は約180億円になります。また、売り上げに占めるKDDI本体との取り引きの割合をみると、KDDIテレマーケティングでは7割以上、総合サービスでもKDDIの建物管理やツーリスト事業、本体の管財関係にかける保険代理店窓口業務などを受け持ち、かなりのウエイトがあります。一方、KDDIテレサーブはホテルの電話交換業務系に特化し本体との取り引きは少なかったので、合算すると約55〜60%が本体向けになっています。
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